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2009年3月

罪と罰

天気予報では、黒羽は明朝の気温は1℃だそうです。まだまだ寒い時期です。ゴールデンウィークが過ぎる頃まではメリヤスが脱げませんでした。

とあるネット上の掲示板を見ました。刑事事件に対しての質問を扱っていました。現在、家族や恋人が裁判中で、どのような判決になるのかという質問が多く、私も同じ思いを家族や周りにさせていたのだと反省させられます。それらを見ていて思ったのですが、被告である彼氏や家族を心配するあまり、被害者のことを無視しちゃってるなーと。「どうすれば刑が軽くなるのか」とか、「どうしても執行猶予はつかないのか」といった内容の質問が多いのです。気持ちはわからなくはないのですが、身勝手だなと思ってしまいます。犯した罪に対しての刑罰なのだから、それを受けるのは当然です。どんなに愛していても、その人は罪を犯したんです。なんて言うか、彼氏や恋人の刑を軽くしてあげることが、助けるだけが、それも愛情からくることだとは思いますが、それだけが愛情だとは思えないんです。そりゃあ待つことは辛いだろうし一人になりたくないのはわかります。でも、その為に被害者感情を無視するようなことは違うんじゃないかと思います。それはただの自己中です。「彼氏が出所するまで待つ自分」が嫌なだけじゃないかと。それは単なるエゴなんじゃないかと思いました。

私が偉そうに言えることではないのですが。

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過去の清算

 近々、高校の同窓会があります。前々から話は出ていたのですが、ここ数週間で本格的に話が進み、私は幹事手伝いのようなことをしています。今日もそのことで幹事の友人から電話が来ました。

私は迷っています。同窓会に出るべきかどうかを。私の知っている限りでは、私の過去を知っている高校の同級生は一人だけです。刑務所で手紙のやりとりをしていた友人です。その友人は誰にも話していないし、同窓会にも出ないと言っています。でも、他から話が回りまわって私の過去を知っている同級生がいないとは限りません。そして、その人が誰と話したかもわかりません。

前科者となった私が、みんなの前に顔を出してもいいものかとも思っています。

考え過ぎかもしれませんが、やっぱり不安です。

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刑務所の残業

 ここのところ仕事がメチャメチャ忙しく、毎日残業でなかなか更新できずにいました。この不景気な時期に忙しいのは結構なことだとは思いますが、かなり疲れました・・・。

刑務所でも残業したことが数回ありました。中央計算は作業報奨金の計算期日を厳守しなければならないので、正月休み明けやゴールデンウィーク明けなどに残業することがありました。通常16:00には作業は終了するのですが、中央計算の人間だけ18:30頃まで工場に残っていました。

工場で夕食をとり、作業終了後には残業食が出されました。白玉だんごが入ったぜんざいや、誕生会のときに出されるロールケーキでした。その後に入浴。普段は使えない、新しい5寮のシャワー付きの風呂場を使えました。普段使っている風呂場は古くて狭くてシャワーも無いので、結構うれしかったです。

刑務所の消灯時間をとっくに過ぎた時間に家に帰ってくると、「これが普通の社会生活なんだなー」と改めて実感します。

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誕生会

 間もなく、私は誕生日を迎えます。数年前の誕生日は事件を起こした直後で、太宰治じゃないけれど、「生まれてすみません」と言った心境でした。

さて、刑務所では自分の誕生月に一応お祝いをしてくれます。毎月末、その月の誕生日の者を工場の食堂に集めてみんなでケーキを食べ、ココアやコーヒーを飲みます。私が黒羽刑務所に入所した頃はあんドーナツとリングドーナツでしたが、途中からロールケーキになりました。

不正授受をしないように担当刑務官が見ているのですが、厳しい担当だと私語を許してくれないので、みんな無言で食べます。そのときは何とも味気ない会でした。それでも中にはロールケーキを少し残して服の中に隠し、あとで仲のいい人にあげている者もいました。見つかれば当然懲罰ですが、甘い菓子類はそれだけ貴重品なのです。

誕生会は普段の作業中に行われます。名前を呼ばれて食堂に行くときは、結構嬉しかったですね。

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帳尻合わせ

 年度末、ちょうど今の時期ですが、各省庁やお役所は年度予算を余らせない為にいろいろとお金を使います。刑務所もお役所、ご多分に漏れません。

黒羽刑務所では毎年2月半ば頃からおかずが一品増えたり、たまにしか出ない割れパン(普段のコッペパンにクリームが挟まっているもの)が毎回出たり、祝祭日の特食(お菓子)がちょっと豪華になったり、食事の面が一時的に良くなります。受刑者としては嬉しい限りなのですが、4月になると元に戻ってしまうので物足りなさを感じます。

この時期が終わると「観桜会」、お花見までこれと言ったイベントはありません。受刑生活において、普段より豪華な食事は大きな楽しみです。

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記憶

 数年前、今くらいの時期に私は事件を起こしました。当時のことをちょくちょく思い出すことはありますが、この時期になると毎年「数年前の今頃は・・・」と、ことさら強く思い出して少々落ち込みます。

逮捕状を見せられ手錠をされた瞬間、初めて見る留置場、取調室。思い出すと暗くなることばかりです。取り調べではやっていないことまで認めさせられそうになり、否定すると怒鳴られ、このようにして冤罪事件がつくられるのだと思い、警察は決して善の機関ではないと痛感しました。「お前のせいで帰りが遅くなった」と文句を言う刑事に正義感など微塵も感じられませんでした。

初めて接する本物のヤクザ、不法入国した外国人、ニュースで見た事件の犯人、留置場には本当にいろいろな人達がいました。事件を起こし逮捕された精神的ショック、厳しい取り調べ、食事も喉を通らず、体重は一週間で5キロ落ちました。ついに自分は人間として最低まで落ちてしまった、自分にはもう生きている意味は無い、死にたいと毎日思っていました。初めて家族が面会に来たとき、私は顔を上げることができませんでした。ただ下を向いて「すいません。」と言うのが精一杯、父親に「おまえのようなやつは死んじまえ!」と怒鳴られたのも当然だと思いました。母は「よく生きててくれた。」と、ずっと泣いていました。

そのときの自分と現在の自分を比較すると、よくここまで復活できたものだと思います。それは決して自分自身の力ではなく、支えてくれた家族、友人、それぞれ辛かったときに出会った人達のおかげだと思っています。

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